札幌高等裁判所 平成9年(行コ)6号 判決 1997年10月31日
北海道滝川市北滝の川一六番地一
控訴人
小山幸一
北海道滝川市大町一丁目八番一四号
被控訴人
滝川税務署長 寺岡光博
右指定代理人
土田昭彦
同
工藤義和
同
大場烈
同
坂下晃庸
同
沢田和宏
同
房田達也
主文
一 本件控訴を棄却する。
二 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
一 当事者の求める裁判
1 控訴人
(一) 原判決を取り消す。
(二) 被控訴人が平成六年二月二八日付けで控訴人に対してした
(1) 平成二年分の所得税の更正のうち総所得金額一四三万五二九三円(ただし、異議決定による変更後のもの)及び納付すべき税額一万九三〇〇円を超える部分(ただし、異議決定による一部取消後のもの)並びに過少申告加算税賦課決定
(2) 平成三年分の所得税の更正のうち総所得金額四六四万三五一七円(ただし、異議決定による変更後のもの)及び納付すべき税額二五万二四二〇円を超える部分(ただし、異議決定による一部取消後のもの)並びに過少申告加算税賦課決定(ただし、異議決定による一部取消後のもの)
をいずれも取り消す。
(三) 訴訟費用は、第一、二審とも被控訴人の負担とする。
2 被控訴人
主文同旨
二 事案の概要等
事案の概要は、次のとおり付加、訂正するほか、原判決の「事実及び理由」中の「第二 事案の概要」に記載のとおりであり、証拠関係は、原審訴訟記録中の証拠目録に記載のとおりであるから、これらを引用する。
原判決一七頁四行目の「(一)ないし(四)」を「(一)ないし(五)」に改め、同一八頁四行目の次に行をかえて次のとおり加え、同五行目冒頭の「(四)」を「(五)」に改める。
「(四) 本件類似同業者を抽出する過程及び結果に重大な疑問がある。
すなわち、本件のように類似同業者が更正処分時に二社、本訴になって四社という少数しか抽出されていないときにまで、単純に同業者所得率の平均値をもって同業者比率としているのは疑問であり、本件類似同業者の抽出過程に被控訴人の思惑や恣意が介在した疑いがある。」
三 当裁判所の判断
当裁判所も、控訴人の本件請求は理由がないから棄却すべきものと判断するが、その理由は、次のとおり付加、訂正するほか、原判決の「事実及び理由」中の「第三 判断」に説示するとおりであるから、これを引用する。
1 原判決二三頁六行目の「開係書類」を「関係書類」に、同三三頁六行目の「都合に等」を「都合等」に、同四〇頁一〇行目の「平均値をを」を「平均値を」に各改める。
2 同四五頁一行目の次に行をかえて次のとおり加え、同二行目冒頭の「(4)」を「(5)」に改める。
「(4) 控訴人は、四社という少数の本件類似同業者の所得率の平均値をもって同業者比率としているのは疑問であり、本件類似同業者の抽出過程に被控訴人の思惑や恣意が介在した疑いがある旨主張する。
しかし、前述のとおり、抽出された本件類似同業者の数が四名であっても、類似同業者の個別性を平均化するに足りるといえるものであり、類似同業者が四名であるからといって本件類似同業者の抽出過程に被控訴人の思惑や恣意が介在した疑いがあると認めることはできず、他にこれを認めるに足りる証拠は存しない。」
四 結論
以上のとおりであり、原判決は相当であって、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとし、控訴費用の負担につき行政事件訴訟法七条、民事訴訟法九五条、八九条を適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 竹原俊一 裁判官 竹江禎子 裁判官 滝澤雄次)